雲の中の花:伊吹鳥兜4 ― 2018年08月17日
薔薇のプライド : 伏見 ― 2017年05月26日
自然と不自然 : 黒兎の独白 ― 2016年04月03日
黒うさぎぺっぺの とりとめのないモノローグです。
(伏見稲荷へ奉納された行燈画より)
私も生きるために細々と職人を続けているわけですが
(職人を続けるために生きているように見えたりもしますが)
この仕事そのものにストレスを感じたことはありません。貧乏 (正確には人間が生み出した『お金』の存在そのもの)を除いては。
ただ、ときには無理解な事態、不自然な対応に直面して、非常にがっかりすることはあります。
不自然さのストレス。
それが私たち人間に与えるダメージに、少しでも抗したい
より自由で自然な心を取り戻したい、という渇望みたいなものが
この仕事を続けるほんとうの動機なのかもしれません。
植物には、ふつう根っこがあります。
根っこが踏みつけられて土が固く締まり、息ができなくなれば、死んでしまいます。
こう言うと幼児は必ず『なんでー?』と聞きますね。
この頃は、いい大人でも『なんで?』と言う人がいたりしますが、なんで?
酸素を運ぶ植物の根系図とヒトの血管図は、よく似ています。
元をたどれば、同じ海から生まれたRNAだったりDNAなわけで
人間の根っこは、運動神経系を統括する部品の脳ではなくて、
赤い血の流れるこころ、にあると思います。
それは自然な環境での共生を刻み込んだ、あらゆる生物のDNAの意思でもあるはず。
トランプさんの言う「環境よりも経済」を平たく言うと
ひとの命より自分のお金、ということになりますが
それはまるで、種の絶滅へといざなう、ハーメルンの笛のように感じます。
…………………
【何のシンボル?】
自然の素材で作りこんでも、素直な愛を感じない不自然な景色になることもある。職員達と練り上げた園庭に、園長兼理事長の独断で突如出現した140万円也!の巨大で異様な『ポスト』。
外構は人格を反映する。
この現場では、活発だった職員たちの助け合う雰囲気とは異質の、内実の妙な変化を感じる。開園時より、職員や子どもたちの生き生きとした日常を、食の側から活写して評判だったブログ日々菜々も凍りついたまま。
違和感の正体は、権威やカリスマ化への欲かそれとも老いによるものか… いずれにしても硬直した組織でヒトは育たない。指導者や『正統な後継者』としての自信や思いがあるのかも知れないが、ずっと正しい歴史を歩んで来た人などいない。ここまでやって来れたのは、色んな人達の善意や試行錯誤、陰日向の協力があったから。正義は誰にでもあり、正解は一つではない。
謙虚さを忘れた独断の焦りが、素直に心情を吐露してしまったような、このアンバランスな造景は、まるで胸像の様に映り、後に続く者たちの心に響かないばかりか、暴力的にすら感じてしまう。
このままでは、あなたの積まれて来た徳と、大きな可能性を持つ若い現場が、あまりにもったいない。
…………閑話休題…………
最近、環境エンリッチメントとかいう言葉を耳にしました。おもに動物園で使われています。
動物は自然の環境にいないと、本来の正常な行動ができなくなります。
魚やカエルもそうですが、とりわけ、知性が高い霊長類や象などにとっては死活問題となります。
もちろん人間もです。
たとえば、繁殖にも実績をあげている北海道の旭山動物園。
小菅名誉園長の報告(→Link)に「環境エンリッチメントと繁殖行動の発現」と題したレポートがあります。
―――繁殖行動はこころの問題という部分を少し引用しますと―――
動物に十分な広さの施設を用意し、生息地の環境をそのまま切り取ってきたかのような飼育環境を作り出し、さらに食べ物も現地のものを用意したとしても、繁殖行動を起こさない動物がいることも事実なのです。
では、何が不足なのでしょうか。それは心の問題なのだと思います。これまで我々は
「動物は健康であれば繁殖するはずだ。だから繁殖しないのはどこか体の具合が悪いのではないか」
と考え、健康診断を繰り返す傾向にありました。
考えてみれば、同じ方法で飼育していても、繁殖する個体と、繁殖しない個体がいるということは、やはり繁殖行動には、精神的な要素が大きく関わっているということだと思います。
旭山動物園では、動物たちに“しあわせ”を感じて生活して貰おうとさまざまな環境エンリッチメントを実施してきています。例えば、サイやゾウには泥浴び場と体をこすりつける太い木を用意し、キリンには高いところに餌を釣ってあります。水鳥には、3000㎡の広さに高さ14mのネットを張り、自由に飛べるようにしました。さる山のニホンザルは、草を指で摘んで食べ、チップの中のピーナッツを探して時を忘れ、オランウータンは、高さ17mの空中散歩を楽しんでいます。 多くの来園者が「動物たちが楽しそう」と感想を述べています。私も同感です。 (以下略)
長くなりました。要するに動物たちは
餌を探してとるという苦労がなくなると食欲もなくなる、
群れの社会で生きるものたちは、群れでなくなると、まともな出産や育児ができない、
ライバルがいないと発情しない、といったことから
そのおかれた環境が不自然だと、
つまり、「生きているしあわせ」を感じないと、異常な行動をするということです。
ヒトも群れで生きる、自然界ではひ弱な生物。
「生きているしあわせ」に、ほんとうに必要なものとは何でしょう。
お金?能力?学歴?教育?道徳?権力?
どれも他者を差別化し利用する為に、大きな脳で編み出して来た、不自然な道具や価値観に思えてきます。
報道は日々、理解しにくい犯罪やアメリカを中心とするテロの応酬、政治家のおごりや広がる貧困を伝えています。
その犠牲者には必ず子どもたちがいます。
そして私たちには、こころの病みもじわじわと広がっています…
残り時間も少なくなってきましたので、次の世代に思いをめぐらせながら、取りあえず仕事に戻るとしましょう。
にんげんエンリッチメント。
なにしろ宇宙から見るこの小さな美しい星はひとつで、どこにも国境なんて引かれてないそうですから。
★ N E W S ★
『私は日本人に問いたい。日本国民はしあわせなのか?』とのメッセージを持って
ホセ・ムヒカ元ウルグアイ大統領がはじめて来日しています。
『私たちは、発展するために生まれてきているわけではありません。
幸せになるためにこの地球にやってきたのです。
人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。
命よりも高価なものは存在しません。』
フジテレビが緊急特番を組むようですので、注目しています。
≪緊急特番:フジテレビ系4月8日(金)午後7時~午後8時54分 池上彰氏と対談≫
≪関西テレビは4月9日(土)午後3時30分~午後5時30分≫
気ままさはそのまま:城陽 ― 2015年12月24日
庭は囲うことから始まるといいますが、素材やデザインというのは不思議なもので
同じような高さ1m足らずのものでも、ちょっと囲いを変えるだけでこれだけ変わります。
とても広く感じます。
着工前 Before
↓
工事後 After (フェンスを御簾垣に変えただけ。鉄骨仕込み)
着工前 Before
(実はこのスペースに4m級のケヤキやカイヅカたちが鬱蒼としていたのを、取り去るお手入れをした後)
昨年、ここでお連れあいを見送られたあとの生活。
淡々としつつ、しっかりと根をおろしておられる暮らしぶりや、気さくな地域の風土にふれたら、庭もことさら気取る必要もないわけで。
やさしく囲った後は、自由気ままにお好きなものを置いて、四季の移ろいとともに土いじりを楽しんでいただけましたら、私もしあわせです。想い出のザクロを1本だけ植え、庭仕事が楽になるよう、水道も引きましたが、それ以外の余計な造作は一切しておりません。
↓
工事後 After
雨後の晴れ間、御簾垣の隙間に宿って無数に光る水玉たちの美しさに感動したと
教えてくださいました。水玉にもいのち。
ところで、この晒し竹ですが、近頃は薬品で晒したものが多く、
このように、本当に火で炙(あぶ)って艶をだした材料は手に入りにくくなってきております。
見た目の美しさも随分違いますが、火で炙った方が、かなり長持ちするように感じております。
プラスチック? う~ん、論外です。
構えない構え : 伏見 ― 2015年05月14日
住む人の生き方や好みにあわせて、明るく暮らしやすくしました。
2年かけて、少しずつ変わっていく様子です。
Before 〈着工前 庭側〉
↓
〈ブロック塀や門柱門扉を取り去って工事は続きます〉
↓
かたちが出来てきました。
↓
冬。庭の奥の方は、生きた土作りをして、とりあえず今年はトマトと茄子の畑 。
そしてさらにその翌年には↓こんな具合に。椿は「月の輪」 桜は「関山」、
奥の四ツ目垣は、コクテールの成長に合わせるようになんと、音符のように波を打ちました!
↓
After 〈完成〉
春。仕上げは、名栗(ナグリ)の名人原田氏に制作をお願いしていた、大きな曲がりの山名栗を使って、薔薇のアーチ。名栗とは腐れにくく丈夫な栗材を手斧(チョンナ)でなぐったもの。熟練の手にかかると、全くささくれず、栗独特の艶肌が見事。
支える柱もほぼ無節の栗、10cm角。こちらは伝統工芸士おさむ工房に無理をお願いしました。
品のある素材は、それだけで美しく温かさを感じます。一流の職人たちの親身なご協力やアドバイスには、ほんとに感謝です。
町並みの雰囲気も、やわらかくなりました。
そして翌年。花が繋がりアーチの完成。(2017/05/24)
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内側から見ると…
Before〈着工前〉
↓
After 〈完成〉
After 〈完成〉
ヒノキと竹で組んでみた2個の四ツ目垣風の衝立は、あちこちに軽く移動出来て景色の変化も楽しめ、思いのほか重宝しているようです。
石畳のテラスには、いざという時、車を2台入れられます。
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同じように玄関前も、コンクリートの塀や門扉を半分取り去り、石畳のスロープにしました。
Before 玄関側
〈左袖の塀を取り去ったところ〉
↓
After 玄関側
〈水栓柱やホースは、分厚い古板石の裏側を使って井戸風に納めました。左手のコンパクトな竹垣には、この夏、大輪の朝顔が絡みます。〉
庭のバラたちも,
最小限の手入れにもめげず、やさしく、おだやかに咲いてくれています。
春がすみとアゲハチョウ
ピース
しのぶれど
夢
ニュードーン
ヘンリーフォンダ
黒蝶
ファイルフェンブラウ
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