変える 変わる : 園庭二題 ― 2021年04月01日
再び 西京区のみつばち保育園にやって来ました
これは 小さい子用の洗い場
ヒノキをふんだんに使った木造園舎に
似合わないブロック塀のような洗い場は
足場が狭くて使いにくい上 死角も多く
ちょっと暗いコーナーになっていました
改修のきっかけは
コロナ禍での洗い場の充実はもちろんですが
構造的に
コンクリートに体を擦りながら水を求めるしかない
小さい子どもたちの動きと
水の出方 …拡散するシャワーではなくて
流れ落ちる水の感触 の大切さを
丸国園長にお聴きしたから
浮かんだヒントは
清水寺の音羽の滝でした
それで こうなりました
自然の素材感覚を大切に
太い栗の木と ぽくぽくとした御影石(花崗岩)を使って作りました
子どもの姿を隠さず 周囲にもストレスを与えぬよう
5ヶ所の給水を 風化した遺跡のように柔らかく
ミニマムにしつらえました
床面積を5倍に広げて
0歳児室から外の水場や砂場まで
ハイハイでもスムーズに動けます
一筋の滝は
太い栗の木の中をくぐり抜けた水が
上から落ちて来るしかけで
子どもたちは自分で
手元のかわいいハンドルを使って
滝の水量を自由に調節できます
管理用のバルブも設置して それぞれの水圧も調整可能
出来上がってみると
昨年作った藤棚の下で
小さい子どもたちの露天風呂 大人の昼寝や
水圧をかけて滝修行?にも良さそうな
明るく愉快な遊び場になりました
今度はテラスの拭き掃除が忙しくなるかも…
子どもたちのいろんな様子を
たくさんブログに上げてくださいました
ありがとうございます
半年後の風景
* * *
さて もうひとつは 開園10年目を迎える
右京区の みつばち菜の花保育園です
かつては青々としていた芝生山も 事情により年長児にも開放したので
あっという間に ごらんの状態
あなたがこの子なら 何をして遊びますか?
もっと大胆に広く使って
ひとりひとりの状況に応じて
色んな遊びが浮かぶ庭にしましょう
ということになりました
左の0-1歳児の建物と土山とを ヒノキのぬれ縁で床との段差なしに接続し
造成した低い山々をつなぐのは 太い八角名栗の一本橋
橋は景観の要(かなめ)として 園庭全体に 自然な落ち着きと楽しさも演出します
栗との対話から生まれる伝統的京名栗 独特の素材感は心とカラダにもおすすめ (できるだけ はだしでね)
ただの止まり木やベンチ代わりでもいいし ジャンケン遊びでもいい
尺取虫になってみるのはどうかしら 遊び方は無限です
18ミリ厚アルミ板を加工した基礎で
橋の位置も変えられます
さらに 年長児用と年少児用それぞれに
登れる樹形の 太くて大きな樫の木を 2本用意しました
( 京都木村農園と仲西造園の知恵と力で搬入植栽できました 感謝です‼︎)
また 四季の変化や実を楽しめる中低木を増やして
疎密のメリハリをつけ 狭くひっそりと遊べる木陰も複数確保
眺めるだけでも楽しい緑のグラデーション
大きくなったコミカンの木を慎重に移動し
開園来 格好だけで使えなかった手洗い場も撤去して スペースを作り
年長用の綺麗な洗い場を新設 広くて使いやすく年少にも人気です
(この洗い場はタップルート岡村氏の設計 増田組の施工)
狭いと思っていた園庭は
ほんとはこんなに広かった⁉︎
新緑のアプローチ
* * *
ところで
植物にとってみると 園庭は
根元を踏み固められて根呼吸は困難になり 枝は折られ 未熟果はむしり取られ
草も生えないほど 不自然で過酷な現場です
優しい姿でも 彼らは必死にそこに立っているのです
木登りするなら1年後から
できるだけハダシでお願いします
保育園では登る頻度が激しくて
靴では樹皮が剥けてしまいます
木々が大切に愛されて
みつばち本園の銀杏や 西山園舎の大桑のように
人間の子どもたちの育ちを
受け止めてくれるような関係になることを
願うばかりです …
大桑の木を剪定すると
子どもたちは手に手にその枝をひろって
輪になって踊りだしました
「はっぱのおまつり」だって
アフリカにいるみたい!
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