薔薇のプライド : 伏見 ― 2017年05月26日
構えない構え : 伏見 ― 2015年05月14日
After 〈完成〉
建仁寺垣とニュードーン : 伏見 ― 2012年06月22日
たとえば代が変わったり、駐車場が必要になったり、バリアフリー化などと、その場所で根を張って暮らしていくために必要な改変。
住むひとに寄り添い、地域に落ち着きとうるおいをもたらす。庭の改修とは、きっとそうゆうこと。
Before
アンバランスな印象。巨大な中国製春日燈籠の迫力(圧迫力)が、ひたすら視線の前に立ちはだかって、なんだか落ち着きません。
↓
After
御香宮を氏神にまつるご町内。ご家族のライフスタイルやそのおはなしを聞くにつけ、2mを軽々と超える大きな中国製春日燈籠の扱いがネックになっていました。
日本の春日型燈籠をデフォルメしたようなデザイン。農協も売りさばいたため日本の田舎では根強い人気があります。大型で手軽に威張りたい向きにはたいへん便利な素材ですが、残念ながらステイタスにはなりません。
大型になるほど、暮らしや庭との調和、品の良さといった感覚からは遠ざかって家庭では難しい素材だと感じています。シンボリックな扱いなら使えそうですが、この燈籠は地震にも弱いため、使うには注意と工夫が必要かと思います。
このお宅の場合は、庭でお孫さんたちが遊ぶこともあって結局撤去することになりました。
そのあと、お宅にあった古い素材 ― 雪見や景石、水鉢、臼石、植栽、鉢植えなど― を見つけ出しては、ずらしたり、深く沈めたり、時にはひっくり返したりしながら使いました。
石畳は、軒内からつながっており、将来の駐車場化にも備えて十分な広さを確保。洗濯物も思い切り広げられるし、小さい子どもたちが来ればプールやBBQだってできます。
この庭は、奥さまの好みに添ってこれから大きく変わり始めます。
右手前には竹組でバラのスクリーン(袖垣)を作りピンクの春がすみや紫の小花ファイルフェンブラウなどを植栽、今後はさらにお好みのバラを配置し育てていきます。和風にバラ。四季を通して、大胆に個性的に変化していく様子が、とてもたのしみです。
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一年後のようす。 枯池にはヘンリーフォンダ。
建仁寺垣には、この1年で4mも伸びたニュードーンが誇らしげに咲いていました。
日本一の保育園になろう :右京 ― 2012年05月20日
みつばち菜の花保育園は、100人を超える待機児童をかかえる京都市西京区の社会福祉法人みつばち福祉会 みつばち保育園(2001年開園)に次ぐ、法人二つ目の大規模な認可保育園として右京区に今春(2012年4月)開園した。前身は、ひかりかぜ保育園。
しかし、つくる会、保育士、調理師たちの開園までの努力にはすざまじいものがあった。
「子ども」という未来そのものに向き合う仕事のせいか、この保育士や調理師たちの謙虚で地に足がついた前向きな姿勢や個性光るセンスには、随分とヒントや力をいただいた。
それぞれの目は輝き、自分なりに考え、話し、動いていた。このことを忘れてはならない。
新たな場所でもあり、いろんな困難が待っているだろうけど、何よりも働く仲間の心を大切にして、ゆっくりと京の子育ての核のひとつに育って行って欲しいと願う。
おかげさまで、前身ひかりかぜ保育園の中で、園長や保育士、調理師たちと自由に話し合い、子どもたちにも気安くお声をかけていただき?ながら、集中して設計し提案することができた。いくつかは、設計監理との関係で実現できなかったが。
さらに、アドバイスや新しい情報をいただくなどいつもたいへんお世話になっている、樹木、草花、銘木、竹、石、肥料など、長い間京の庭を支えてきた、信頼するそれぞれの専門店のバックアップのお陰があって無事に施工できたことに、いつもながら感謝するばかり。
すべてがこの場所に馴染み始めるのは数年先だが、とても楽しみだ。
植栽工事の様子。松の流木とアテ(アスナロ)の出節丸太を運び込みノウゼンカズラのアーチを準備中。門扉の大きさや作りが意外と貧相でアンバランスな印象だが、コンクリ塀や園路と共にもえぎ設計の指定で、増田組のお仕事。
0歳児専用の庭。掃き出しの窓からそのまま出て、じかに触れる土と緑。窓枠下のトタンが熱くて、小さなテラスか縁側のようなものが欲しかったが、ウレタンが付いてくるのも困る。わくわくするかたちと、木陰を作る植栽樹種、維持方法や年長児とのかねあいにも苦心した。
地元の農家と、素敵な保育士たちの協力で大量の菜の花を植栽、竣工式に間に合った。
保育士たちは、お願いしていた通り、仕事(お散歩)中に菜の花畑を発見し、その所有者に頒けていただく話をつけておき、勤務終了後に連れだってブルーシートやスコップを手に、菜の花畑へ掘り取り作業に向かった。
大量の菜の花をつめ込んだ保育士の車がエンストし、日暮れてJAFを呼ぶ事態にも、彼女らはニコニコしていた!
最初に咲いたのは0歳児室前のハナミズキ。奥はマユミ。井戸水が出てくる黒い散水ホース。
開園1か月目には、つるバラが咲き始めた。
(1年後 2013/05/19)
春風
春がすみ
ポール・ネイロン
道沿いには春風、サマースノー、アリスター・ステラ・グレイ、春がすみ、アイスバーグなど。
中に咲くオールドローズはポール・ネイロン、大きな花で道往く人に「牡丹ですか?」と尋ねられた。
どれも棘が少ない品種を選んだつもり。
北側の職員通用門には、面取された御影石を積んで植えマスを作り、京都木村農園のみなさんの強力なご支援のお陰で、立派なシダレウメを植栽できた。
いつも元気な挨拶をくれ、作業してると背中から「監督」してくれたお向かいの染め屋のおばあさんも、この花を見たとたん 『ありがとぉ! 殺風景だったこの通りがとても良くなったわ』。
こちら側の地域住民の一部の方から『子どもの姿を見たくない』『声も聞きたくない』という強い要望があったため、図面では高さ1.9mものRC(鉄筋コンクリート)塀という恐ろしく暗い設計だった。
とはいえ、この場所は植栽可能な奥行きは1mもなく、陽も当たらない。地面は既に完成したRC塀基礎と複雑な配管で占められていたが、徹底した改良土による大幅な土盛りと、ドラムで面取した御影石の土止め、悪条件に耐えそうな樹種、下草の選定で、何とかなったようだ。
最新の設備を誇り、元気な調理師たちが早朝より働く調理室は、この保育園の心臓部。窓の外にはパッと明るい伊豆大島の椿。
働く人たちがいい仕事をするために、気持ちよく過ごせるのはとても大切なこと!
成長した椿に、いつも遊びに来てくれるメジロ達へ、栄養士がミカンを吊るしてプレゼント。
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≪ 蝸牛社のこと ≫
みつばち菜の花保育園が建つ前はーー
見事な壁面のつるバラや、歩道沿いの花や実が地域や道往く人に愛された「蝸牛社」(かぎゅうしゃ)のビルや染工場の景色があった。保育園の外構にバラを使ったのは、長く地域に親しまれ愛されたこの蝸牛社の景色に、敬意を表す意味合いもあった。
蝸牛社の深い善意なしには、みつばち菜の花保育園はありえなかったことを忘れない。
以下は解体直前の蝸牛社のようす。
移植できそうな樹木や草花は丁寧に掘り取り、いったん引っ越しした後、みつばち菜の花保育園完成後に再び移植した。
ビルの奥には三階建ての大きな染工場があり、地下には壊れてはいたが大規模な工業用井戸が設置されていた。井戸は、緊急時には地域に役立つこともあり、保育園はあらためて井戸を掘りなおした。水量、水質も折り紙つき。
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解体を目前にした蝸牛社ビルで、
準備を重ねた「ひかりかぜ保育園」のみなさんは、地域に打って出た。
雨の中、続々と詰めかける住民の方々。
組織が大きくなっても、ボーナスが貰える身分?になっても
栗とコーネリア : 美山 ― 2001年06月13日
無農薬で見事に咲くつるバラ コーネリア。 奥にはニュードーン。
都会住まいで、大の競馬好き!の映画監督のご主人も時にはいらしていましたが、普段は奥さまが愛犬と 田舎での静かで丁寧な暮らしを楽しまれていました。
慣れない雪の坂道で滑ってころんで手首を骨折されたこともありました。
着雪による枝折れのはげしいミモザの雪吊りを毎年指示され、雪国では珍しく、私の植えた苗木を大木に育て上げられました。
バラのアーチや、ナイアガラ(ぶどう)の棚などには機械化で使われなくなった稲木干し用の栗丸太を買い受け、ふんだんに使いました。きれいに管理された芝生は、愛犬とのリビングルーム。
栗(山栗)はとても腐れにくい、伝統的高級素材ですが、此の頃は山でもあまり見かけなくなりました。(若木は片端から鹿に食べられてしまい、次世代が育ちません。)
栗の又を使ったアーチやパーゴラは日日庵オリジナル。10年経ってもびくともしません。
曲線のテーブルベンチは伝統工芸士おさむ工房に依頼しました。
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【バラやクラシックを愛した父のおかげで生まれた時からたくさんのバラがありました。バラを使う造園屋は少ないけれど、特につるバラには強い品種も多く、修景に使えます。 無理な四季咲きにこだわらなければ、そんなに肥料漬、農薬まみれにしないで、自然に育てられる品種はあると思います。生きた土にするなどの工夫やメンテナンスは必要ですが。】
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