萌色:舞鶴 ― 2018年04月11日
春の芽吹き色には未来や希望、再生といった、いのちの普遍性を感じます。
それは私達が「自然」と呼ぶ宇宙の真実なのでしょうが、今年に限って、どの木も皆一斉に喋りだしたので、まあ賑やか。
椿の存在感。成長はゆっくりで寿命も長く、長(た)けたものには神が宿ると云われてきました。
ユキツバキ(雪椿)は下枝が長い独特の樹形。冬、その細長くしなやかな枝を、深い雪の中に潜らせ凍てつく寒さから我が身を守って越冬し、雪が溶けるとその枝を持ち上げてたくさんの花を咲かせます。
暖地生まれの椿が、日本海側の厳しい気候を生き抜くために特化したとも言われていますが、椿と雪椿はまったく別種だという学者もいます。
これはその園芸品種で銘は「愛の泉」。開き始めは作り物のように繊細で美しい「乙女椿」もルーツは雪椿です。それにしても誰がこんな微妙な名前をつけるのかしら…
シャクナゲ(石楠花)も同様に、雪の中で押しつぶされるようにして越冬します。
今年は桜、椿、ミズキ、ミツバツツジなどと一緒に、あわてて咲いてしまいました。
急に暖かくなったとはいえ、やっぱ変ですね。
いったいどんな夏が待っているのでしょう。
( 於 舞鶴自然文化園 )
我モ乞フ : 伊吹山 3 ― 2017年08月24日
まるで線香花火のような
シモツケソウ(下野草)が
緑の肌を紅く染める
ワレモコウ(吾亦紅)
私はこの大好きな花を
長い間「我も乞う」だと思っていた
「ほんとうのことを教えておくれ」
求道者のような 孤高や孤独のイメージさえ持っていた
ところがどうだ この大群落
「吾も恋う」 その景色
ルリトラノオ(瑠璃虎の尾)
地球上では岐阜の旧春日村と ここ伊吹山にしかいない
ツリガネニンジン(釣鐘人参)
新芽は山菜トトキ
根は生薬で咳をしずめ元気をもたらすと聞く
ヤマホタルブクロ(山蛍袋)
子どもたちがかつて
捕まえた蛍をこの花に入れて遊んだから
セリモドキ(芹擬)とカワラナデシコ(河原撫子)の囁き
咲き乱れる花々と 元気に飛び回る蝶たちの
自由で美しい交歓
こんな歌を知っていますか
勇気がほら湧いてくるよ 朽ち果てそうだった心に
誇り高く生きよう 喜びにあふれ
2006年 最後のアルバム『夢助』より
いのちの星:伏見稲荷本宮祭Ⅲ ― 2017年07月24日
人間も地球を構成するいきものの一種だったはずでしたが、長い地球の歴史にしてみれば、まばたきする間もないほどの、たったここ数十年で、明らかに地球の変質を急加速させてしまいました。
さて今年も本宮祭に行ってきました。薄い和紙に見事に描かれた美しい行燈画を見て、少しでも亜熱帯モンスーン気候を生き抜く糧といたしましょう。
数百の奉納画から、勝手に選んで紹介します。たいへん有名な方ばかりですが、あえて、作家名やコメントなしでいきます。
今年は一段と猛暑厳しく、そのためかモチーフにも南国出身の木の実が豊作でした。
奉納する作家さんも、増えたようです。
なお、作品の昼夜の表情を見比べるために、同じ絵を一部続けて羅列しています。行燈に火が入ると、作品にぐっと奥行が出るのがわかリます。
(昼)
(夜)
(昼)
(夜)
(昼)
(夜)
(昼。提灯の写り込みあり)
(夜)
(昼)
(夜)
(昼)
(夜)
(昼)
(夜)
Andonの明かり : 稲荷の夏Ⅱ ― 2016年07月24日
一昨日市内の現場で、信楽焼の狸の中に巣くったスズメバチに刺されて以来、微熱が続いてすっかりヘコタレていましたが、昨夜はやはり行ってきました。
伏見稲荷本宮祭。 (今年の京都はイラムシと蜂がたいへん多いです。ご注意を)
アベノミクスの効果で、格差拡大に委縮する大方の日本人を尻目に、殺到した中国人観光客に押し合いへしあいされながら、なんとか参道をくぐり抜けて絵を見てきました。
屋台が並ぶ参道と、千本鳥居の大渋滞をよそに、何百点もの行燈画の周辺は何故かガラガラで、ゆっくり鑑賞できました。
一つ一つを透過光のみで映し出す大規模なあんどんの設営も、そうとう大変でしょうね。
今年とりわけ印象に残ったのはこの黒いうさぎ。
ガンバって見に来た甲斐がありました。
大御所や有名人の作品が並ぶ外拝殿を抜け、本殿右の暗い神楽殿に並んでいました。
・・・なんという表情でしょう。
その背中から爪の先まで滲む
さびしさ、孤独、強さ、やさしさ、誇り・・・
魂を写したような静かな日本画。
あそびが多い行燈画で、その真摯さにちょっとびっくりしてしまった。
こんな力作を行燈画で奉納してしまうのはもったいないです。
いや失礼しました。だからこそ行燈画なんでしょう。
伏見稲荷の懐の深さに感謝しつつ
以下、素人の余計なコメントは無しで、勝手にいくつか羅列します。
私たちが美しい行燈画を見れるのは、もう今夜限りです。
(明治に松森胤保が描いたすっぽんにそっくりだけど…)
晩秋の朝 : 美山 ― 2014年11月29日
灯ともし頃:お稲荷さんの夏祭りⅠ ― 2014年07月20日
伏見稲荷大社の本宮祭(もとみやさい)というのが正式名ですが
毎年、第一線の日本画家たちが数百点もの絵 『行灯(あんどん)画』 を奉納するなんて!もったいない、いや、ありがたくて2年続けて詣りました。
若い頃、お稲荷さんのわりと近所に住んでいましたが、こんな大規模な祭礼だとは知りませんでした。
奉納された絵は、祭が終わっても作家には戻らないし、収蔵や表装されてしまえば私達が行灯の明かりを通して見る機会は二度とないでしょう。
昼間は外光、日没後は内側からの光を通して見るので、昼夜で2度楽しめます。
描くほうには、そこらへんの配慮が課題にもなるわけですが、その工夫がまたおもしろいのです。
たとえば、金泥を使うと光を通さないから、昼間は金色、夜はまっ黒になります。
伏見稲荷という舞台で、軒内とはいえアウトドアに展示奉納された作品たちは、夕立のしぶきを浴びても鷹揚に笑っているかのようです。日展も院展も創画会も重鎮若手も関係なく、庶民が自由で美しい日本画をこれほど生活的身近に感じれることに、京都の町の凄さを感じます。
美術館ではないので、写真だって撮り放題(^u^)
同じ作品の ↑昼 と 夜↓
京の夏祭りというと、みやびな祇園祭ばかり注目されているからか、思いのほか観光客も少なくて、ゆっくりと見て回れるのはとてもありがたいのですが、聞こえてくる言葉は日本語以外が圧倒的に多いのです。外国人が多いとゆうよりも、日本人が案外少ないんだという印象でした。時間帯によるのかもしれませんが。
灯火がはいると突然、魚は水を得、花は風に揺れ、蝶は舞い、虫たちは大地に蠢くのです。
( 稲荷はスズメ? 安くてうまい魚だってありますよ! )
ついでに、昨年の絵からも。
ね。行ってみたくなったでしょ!



















































































































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