ほっこりの庭 顛末:伏見2014年11月26日



伏見稲荷の近く。
粋な町屋風でバリアフリーの建物は 地域で評判の
「稲荷の家ほっこり」 (社会福祉法人 京都老人福祉協会 )  


稲荷の家ほっこり外観。松が枯れている。
 (心になじむ民家風の外観。肝心の松が枯れている。)






板張りの中庭。向かい側にはベッドの個室もある。
              (中庭)

板張りの広い中庭や、奥深い施設の隅々まで、ゆっくり見学させていただきました。 
子育て支援事業も行っており、地域の子どもたちも出入りして 開放的で明るい雰囲気です。





子どもたちのスペースもある。
(2階には地域や子どもたちのためのスペースも)






所長以下、スタッフはとてもお忙しそうですが、気さくな配慮が心地よく利用者の笑顔が印象的でした。 

で、その庭。
――― 井戸水を循環させた流れを飛石で巡る形式で、 年4回プロの造園業者が年間契約で管理していますが、松が枯れても何ヶ月も放置され、手入れも雑で庭が荒れて困っています。―――
 と、かねてより相談を受けていました。 




庭へどうぞ

どうぞ、と言われて庭に入ったとたん 私は流れに足がハマってしまったのです。 
  
水面を覆う水草と、庭中に繁る水生植物パピルス(アフリカ原産シュロガヤツリ)で、地形がよくわかりません。
灯籠は傾き、土がドブ臭い。ビオトープかな?にしてもお粗末です。  





松の根元にまで繁るパピルスや水草
 (ドブ臭い湿原と化した庭)

左手奥の一番低い場所 ! に植えられた松の根元にまで繁茂するパピルス。
流れの水が漏れだして数年が経過と見られ、庭中が湿地帯の様相です。
松は当然のように枯れていますが、漏水に比例し相当な時間をかけて上の方から、じわじわと枯れたはずです。 
きっちり「年間管理契約」をして、年4回も植木屋に入ってもらっているなんて、とても信じられない風景です。





2階から庭を見る
              (2階からの眺め。湿原に枯松。)


所長や現場スタッフの思いをお聞きしながら、一度具体的な提案をさせていただくことになりました。


** 庭の半分以上は、整地して家庭菜園(畑)を **

庭部分を最小限に縮め、「流れ」も分厚い遮水シート工法で大幅にショートカット、手押し車でも楽に入れるように枝折戸や飛石等を全廃し、門からの導入部は石畳に、水辺にはパピルスではなく杜若(かきつばた)や蓮、藤袴などの花を
と、ご提案申しあげました。

新規の開設を控えた理事会のご返事は、「その予算を組む余裕はない」とのことでした。



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手入れで、地形を出してみた。


数ヶ月後、所長の奔走のお陰で
とりあえず「庭の手入れ」に入ることになりました。

手入れと言っても、伸び放題だった生垣の高さを大幅に下げ、不要な植栽や大量のパピルスの根を撤去し、盛り土に植えられて水死を免れた樹木を整枝、傾いた灯籠を起こし、水草を取り、本来の地形をはっきりさせただけです。
ここまではたった1日、1人工の仕事です。

たっぷりと湿っている庭土がはっきりと見えましたが、これで問題もはっきりしました。

① 老人が利用する庭として、この障害物の多い設計をちゃんと検討しましたか?
  ( 少なくとも施設スタッフと現場で意思疎通を図ったとは思えません )

② 竣工後6、7年以内での水漏れ、窒息=根腐れによる松の衰弱や枯死にさえ気付かず、放置したことに管理契約上の責任はないのですか?




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依頼した側の理事会でも上のような意見が出されるようなら、「プロ」の業者も少しは緊張してレベルアップするかもしれません...... が、これらは全て技術以前の問題ではありませんか?

 日本一植木屋(造園業)の多い京都には、素晴らしい庭を作る尊敬すべき職人がたくさんいます。その職人の町を支える専門的業種の豊富さや世界的なレベルの高さも、京都人の誇りです。ところがそういった取引先でも、かつては考えられなかったような非常識な事態が現場で起きていると、耳にすることがあります。

 知らないことは謙虚に人に聞く。あたり前のことですが、昨今この国では首相を先頭に、謙虚さのかけらもなく無知を開き直りますし、高慢に知ったかぶりをするかと思うと、知らなかった想定外だと原発事故の責任さえウヤムヤにしてしまいます。
このような政治が作り出した『何でもあり』の風潮では、地道な職人はなかなか育ちませんし(資格を取れば食べていけるという職業ではありません)、このまま行くとレベルの低下はさらに底無しのような気がします。





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