サクラ切るバカ :知恩院2005年08月20日


電柱を隠して世界遺産に申請するため、か。
     電線を地下化するために、この古桜を伐倒するという公告



 近所の80歳近い住職が物心ついたころから、ずっとこの大きさだったといいます。背丈はむしろ縮んだくらいだと。
そこらの桜とは、わけが違うんだとおっしゃっていました。
ずっと世話してきたけど、わしらが言うても聞く耳もたんとも。

色濃く咲く古桜の並木は、えも言われぬ風格があって人々に愛されてきました。
桜たちも、枝下を通る人たちの人生模様を黙って眺め続けてきたことでしょう。
古桜の下で早朝清掃奉仕される方と地下足袋姿で朝の挨拶をするのも、なんだか気の引きしまる思いがして、私も好きな風景でした。

知恩院を世界遺産に登録申請するためだと聞きました。
いまや『世界遺産』こそが観光客をさらに増やすビジネス・キーワードということらしい。

妙な話です。何とか工夫できなかったものでしょうか。行政は真剣に努力したのでしょうか。

以下、写っている桜たちはすべて遺影です。
幼稚園から大学まであるこの華頂山の道で、伐倒『撤去』を宣告する白い腹帯を並べる演出は、無神経を通り越して、なんとも無残です。

遺影。この桜たちはただのサクラではない。
 

 悪条件に必死で耐えてきたこの桜たちも


遺影。

 この古桜も


この道の両側の桜たちはすべて切られた。

 道路向かいのこの古桜も……

およそ100年以上生きてきて
  
人間たちにみんな、切られてしまった。

何のために?
歴史的景観を作るため… !